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礼拝

 聖書って、いかめしい本だな。
 どうせ、六法全書のような難しいことが書いてあるんだろうな。
 そう思いながら、れいは、パラパラとページをめくった。
 とたんに‘敵を愛せ、迫害する者の為にこそ祈れ’の箇所が飛び込んできた。

 野村牧師が説教を始めた。
「今日の説教は敵を愛せ、迫害する者の為にこそ祈れの内容です。これって、日本のことわざにもありますよね。敵を呪わば穴二つ。また、ドラマや映画でも、復讐したって、絶対に幸せにならないというストーリー性ですよね。
でも、この復讐心というのは、人間の誰でも持つ本能です」
 れいは、うなづいた。
 教会内というか、酒場内は、シーンと静まり返っている。
「しかし、何が敵になるかわからないのが、世の中です。昨日の敵は今日の友という言葉がありますが、その逆もあります。信用してた人に裏切られたり、冤罪をかけられたりね」
 それもそうだな。
 頼れるのは自分だけなのかもしれない。
「しかし、憎むということは、悪魔の領域です。相手の為でなく、自分が悪魔の領域に入らないために、憎まないことです。日が暮れるまで、怒っていてはなりません。人間関係によるストレスは、この憎しみから生ずる場合が多いです。憎しみは昂じると、被害妄想やうつ病の原因になります」
 そういえば、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いということわざもあるな。
 冤罪でも、本当の犯罪が存在するから、起こりえるんだ。
「憎しみを持たないためには、やはり神を信じ、祈り、聖霊を頂くことです。アーメン」
 最後の言葉は、れいにはピンとこなかったが、どことなく、神秘的なものを感じずにおられなかった。


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