どんでんがえし
「もしかして、結城正人くんのお父さんですか? お久しぶりですね」
ある女子高校生風が、挨拶してきた。
しかし、誰だか、さっぱり見当もつかない。
でも、正人の旧姓を持ち出すということは、正人の小学校時代の知り合いかもしれない。
「あのう、どちら様でしょうか」
「お忘れになったでしょうねえ。私は、正人君の小学校五年のときのクラスメートで、沢木 裕花といいます。沢木 裕也は私の父親です。私が、やくざの娘でいじめられてたとき、かばってくれたのが、結城君だった。今でも、遠足のとき、結城君にもらったおにぎりの味をおぼえています」
そんなことがあったのか。
「そこで、私、お返しにバレンタインのチョコレートをもって、結城君の家に行ったんですよ。そのとき、出てこられたのがお父さんだった」
もう、八年も昔のことだ。
しかし、その当時は、正人の家には友人が遊びに来ていたので、一人ひとりを思い出すわけにはいかなかった。
しかし、インテリ風の女子高校生だ。
「現在、正人と同じ高校三年ですね。ちなみにどこの高校へ、通ってるんですか?」
沢木 裕花は、有名進学校の名を口にした。
正人が、第一志望にしていた高校名だ。
努力の結果だなあ。
「私は、勉強だけは公平だと思ってるんです。男女差別もないし、親の職業も関係ないでしょ。それが、スポーツとなると、生まれつきの運動神経を問われることもあるし、芸能や事業だと、いくら努力しても向き不向きがあるし、金もかかる。でも、勉強だけは、努力さえすれば、誰でも結果は得られるんですよ」
なるほどなあ。逆境をプラスに変えたんだな。
「そういうこともあったんですか。まあ、正人は弱い者いじめは嫌いだったし、正義感は強かったなあ。覚えててくださって幸いです」
俺は、自分の息子が人助けをしてるのを知って、ちょっぴり誇らしかった。
「私、弁護士になりたいと思ってるんです。だから今、司法試験を目指してるんです」
裕花は、目を輝かして発言した。
「まあ、弁護士というのも、結構危険な仕事ですよ。セクハラもあるっていうし、婚期も逃すっていいますが、まあ、夢に向って頑張ってください」
俺は、思った事を正直に口にした。
| 固定リンク
「心と体」カテゴリの記事
- 礼拝(2009.02.11)
- 食べ物の好みは変遷する(2009.01.17)
- 疲労感がもたらす幸せ(2009.01.06)
- 花を楽しむ(2008.12.20)
- 我が家の料理(2008.12.17)

コメント